個別指導塾

最近は個別指導塾が増えてきて、「集団授業の塾よりも個別指導の塾の方がよく指導してもらえるのではないか?」と考えている人もいますが、そういった方は重大な点を見落としています。それは、個別指導の塾の講師は、集団授業の塾の講師と比べて、圧倒的に質が劣っているという点です。そして、大半の個別指導の塾は、個別指導を謳いながら、「個別指導」をしていない点にあります。皆さんは、「個別指導」というと、どういう指導をイメージするでしょうか?ふつうに考えれば、「個別」に「指導」をするわけですから、講師一人に対して生徒一人を指導するのが当たり前だと思うのですが、ほとんどの個別指導塾は講師と生徒の比率が1:2や1:3、もっとひどいところは「集団個別」という名で講師一人に対して十人以上の生徒を指導する塾もあるようです。でも私に言わせれば、1:2の個別指導は、「2分の1個別」ですし、1:3の個別指導は、「3分の1個別」にすぎません。そう考えると、個別指導ではいかに学習時間が少なくなってしまうかが容易に理解していただけると思います。

しかも個別指導の塾は、生徒さんが自分で勉強できるようになると、個別指導に通う必要性がなくなってしまいますので、講師は決して生徒さんに勉強のやり方を指導することはありません。ですからいくら長い間通っても自分で勉強できるようにはならないのです。

また、経営する側にも問題があります。例えば、個別指導塾を経営しているのはどういった人間だと思いますか?教育に真剣に取り組んでいる人間でしょうか?いいえ、違います。教育に真剣に取り組んでいる人間なら、自分なりの指導法を確立しているでしょうから、学生講師を数多く揃えなければならない個別指導の体制をとることはありませんし、ましてやノウハウの獲得を目的としたフランチャイズ形式を選択することはあり得ません。では、どういった人間が個別指導塾を運営するのでしょうか?

私が知っているケースを申し上げると、本業で居酒屋を経営し、副業でフランチャイズの個別指導塾を経営している人間がいます。「なぜ居酒屋さんが塾を?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、単純に「個別指導塾は儲かるから!」です。学生講師をあてがって講師一人に対して生徒が3人も4人もいる体制なら、経営する側は非常に儲かるのです。「成績が上がらない!」というクレームがあっても、「講師が合わないのかもしれません」と言って、別の学生講師をあてがえば、また当面の間は成績が上がらないことをごまかせますので、経営する側としては非常に都合の良い仕組みなのです。

本来、個別指導が必要なのは、「生徒さんが集団指導についていけないほど成績が悪いか、私立の学校などに通っていて普通の塾では進度が合わない場合」に限られます。それ以外の生徒さんは、指導力のある講師がいる集団指導の塾に通えば、わざわざ料金の高い個別指導の塾に行かなくても成績が上がるのです。

個別指導の塾でメリットがあるのは、時間の融通がきくことくらいしかありません。時間の融通がきくというメリットだけのために、指導者の質や料金、生徒さんの学習習慣などのすべてを犠牲にしてもいいのでしょうか?個別指導に通わせたいと思うなら、「フランチャイズ方式は何のためにあるのか?」、「教室を管理しているのはどういう人物か?」、「生徒さんを指導している講師はどれくらいの指導経験があるのか?」といったことをしっかり調べてみてください。

有名大学が数多くあり、個別指導塾の講師のレベルが比較的高い東京や関西の一部の地域の個別指導塾は別として、地方都市で満足のいく指導体制を整えている個別指導の塾はほとんどないことに気づくはずです。

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