予習・復習について

昔と比べて学習塾の数も増え、中には「予習をしなくても構いません」とか、「復習も全部塾で済ませます」といったことを売りにする塾もあるようです。確かに予習をしなくても復習をしなくても同じ学習効果が得られるなら、そういったことを売りにするのもいいのかもしれません。しかし私自身は多くの生徒さんの指導を通じて「予習・復習をしない生徒さんは、予習・復習をする生徒さんと同じ学習効果を得ることはできない」と確信しています。

予習は何のためにするのでしょうか?予習は、「授業で勉強する内容を、授業時間内に確実に理解するために自分が分からないことをあらかじめ調べておくこと」です。授業で勉強する内容をあらかじめ学習しておけば、予習の段階で理解できたことは、授業中に集中して聞く必要がなくなりますので、自分が分からないことに集中することができるので余裕をもって授業に臨むことができます。

そして、これが一番重要なことなのですが、「予習の時に、分からないことを理解するために、いろいろと調べたり考えたりする試行錯誤そのものが、高校以降の学習に大きく役立つ」のです。分からないことを理解しようといろいろ調べたり考えたりすることは、能動的な学習です。自分で辞書を調べたり、教科書を見たり、インターネットで調べることで必要な知識を得る方法を身につけることができます。たとえその時に正しい答えを得ることができなかったとしても、そういうことをすること自体が頭を働かせていることになります。そうして授業を受けて正しい答えを聞けば、予習をしなかった時よりもより印象的に知識が頭に残るでしょうし、自分がどうして正しい答えを得られなかったのかを考えるきっかけにもなります。予習の時に毎回自分で調べようとしている、考えようとしている生徒さんと、予習をせずに何の問題意識も持たずに授業を受けるだけの生徒さんとでは、明らかに成績に差がついてきます。特に数学や理科、英語などの教科で予習をしっかりする生徒さんとそうでない生徒さんとで差がついてきます。

それでは、復習は何のためにするのでしょうか?復習は、「授業で理解した内容を自分の頭の中に確実に定着させるため、あるいは授業で理解した内容を実際に自分で使いこなせるようにするために反復学習を行うこと」と言えます。覚える内容が少ない、あるいは理解すればすぐに使いこなせる内容が多い小学校の勉強では、復習の重要性はなかなか理解できないかもしれません。それでも当塾で小学生の生徒さんに出題範囲の広い模擬テストを受験させると、最初のうちはびっくりするくらい低い点数を取るのです。それは、生徒さんが学校で勉強した知識を「学校のテストが終われば、忘れてもいいのものだ」と考えているからかもしれません。そう考えていなかったとしても、模擬テストや入学試験を受ける機会のない小学生の生徒さんにとっては、学校で勉強した知識を保持しようとする意味が理解できないでしょう。

また、中学校でも2年生や3年生になると数学の授業などで、一度聞いただけではすぐに理解できない内容が少しずつ増えてきます。あるいは理解できたとしても、時間をおいて独力で問題を解こうとすると、正解までたどり着けない場合もあります。これは理解することと、自分で使いこなせるようになることが別の段階であることを意味します。復習をしっかり行うことで、理解したことを自分で使いこなせるようになることに引き上げなければいけないのですが、復習の習慣がない生徒さんはこれができないのです。結果として、「分かっているのにテストで得点できない」という状況に陥ってしまいます。理解することと自分で使いこなせるようになることとの差は、高校や大学に進むにつれてもっと大きくなっていきますので、復習の習慣がない生徒さんはどんどん勉強が分からなくなってしまうのです。

当塾に通う生徒さんには、中学を卒業するまでに、「授業を受けることは勉強のほんの一部なのだ」、「学校で勉強したことを効率的に理解するためには予習や復習が絶対に必要なのだ」、「予習や復習をして自分で勉強ができるようになれば、実は学校の授業のペースに合わせなくても、自分のペースでどんどん勉強を進めることができるのだ」ということを実感して、上の学校に進学してもらいたいと思っています。

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